tommy girl / トミーガール【香水レビュー】

トミーヒルフィガーから1996年に発売されたフレグランス、「トミーガール」の香りを紹介します。ルカ・トゥリンの「世界香水ガイド」で☆5評価を獲得している1本。未だにご愛用の方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

私の記憶にある限り、トミーガールほど値段の安さゆえに不当な評価を得ている香水はない。(中略) 安くても良質な香水はいくらでもあるのに、世間ではいまだに嗅覚が得るものよりも、財布から出ていくもので香水を評価したがる俗物が大手を振って歩いている。

「匂いの帝王」が五つ星で評価する 世界香水ガイドⅡ☆ 1885
私的偏愛度:☆☆☆★★
私的オススメ度:☆☆☆☆★


軽やかで明るく、非常に好ましいレモンティーの香りで毎年夏場に大活躍してくれる1本。シトラス・フローラル、そしてベースのティーノートのバランスに優れ、どんなときでも心地よく纏うことができます。
幼い頃母がよく使っていたので馴染み深く、なつかしさを覚える香りのひとつです。これといって特徴のないありふれた香りに思えてその実、似た香りがパッと浮かんでこない不思議。でもそれが、この香水が素晴らしい商品であることの証明ではないでしょうか。特別目を惹く点はなく、どんなシーンにも馴染む香りでありながら実はオリジナリティに溢れている。1本持っておくと便利な頼れるフレグランスです。
個人的にはより重い質感の香りが好みですので☆は3つとしましたが、調香の観点からこの香りに学んだことはたくさんあります。

誰にとっても好ましい香りで、つける人もシーンも選びません
多様な商品が世に出るようになった今、かえってこのシンプルで洗練された香りを新鮮に感じます。香調としては淡い光を思わせる合成香料、へディオンが豊富に用いられたシトラスフローラルタイプの香りです。春夏はもちろん、冷えた空気の中でも凛とした表情が引き立ち美しい。このシンプルさを単調に感じ受け入れがたく思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、それでも幅広くオススメしやすい優秀なフレグランスです。


冒頭で引用したルカ・トゥリンの言葉通り、比較的低価格にも関わらず誰もが心地よさを感じることのできるよい香りです。
アパレルブランドの香水なんて、と敬遠するのはもったいない。

トミーガールの香りの構成と特徴


フレッシュなレモンが弾け、爽やかなグリーンと共に陽を透かすような軽いフローラルが優しく香ります。柔らかいお茶に似た渋みがベースで深みを効かせるバランスのよい香りです。

香りの構成は以下の通り (Fregrantica の情報を参考にさせていただいています)。

 トップ: ブラックカラント、カメリア、
マンダリン、アップルブロッサム
ミドル:ハニーサックル、ユリ、
スミレ、ミント、ローズ
グレープフルーツ、レモン
ベース:マグノリア、サンダルウッド、
レザー、ジャスミン、シダー


上に載せた香りと実際に自身の鼻で感じる香りに差があるので、下記には自分が感じた香りの変化を書いてみようと思います。

トップで香るのはすがすがしいグリーンを帯びたレモンとオレンジ、そしてグレープフルーツ。ほんのりバイオレットリーフ様のメタリックなグリーンが輪郭をシャープに引き締めています。奥にフレッシュなフルーティー香が潜んでいるのもわかります。青りんご、もしくは洋ナシに似たジューシーなフルーティー香が特徴のデューベリーという香料が若干量含まれているようです (勘違いであった場合は申し訳ありません) 。
そこへジャスミンから単離された香料・へディオンが投入され、キラキラと光りを放つ明るくて軽やかな質感が生まれています。
とてもフレッシュでありながらしっかりとフルーティーフローラルの甘さが主張し、かつグリーンのアクセントのおかげでサッパリみずみずしい質感も保っている。とても好感度が高く、心地よい香りです。

時間が経過するにつれ、香りの印象はそのままにハニーサックルの蜜に似た甘さが主張を強めます。スズランに近い、ほんのり鼻をつく鋭く清潔な花の香りも感じられ、清潔なアイボリー色の光をふんだんに身に浴びているようです。
ベースで香るグリーンティー様の優しい渋みもここですでに顔を出し、香りが甘く偏り過ぎないように深い抹茶色を奏でています。
やわらかい香り立ちながら持ちはよく、2~3時間は香りを愉しむことができます。

上の香りの構成に書かれたウッディ系・レザー系の香料はわたしの鼻では感知できませんでした。入っていたとしてもごく微量ではないでしょうか。
ミドルノートの香りがそのまま柔らかく肌に溶けていくように消えていきます。
複数の香料を重ねているにも関わらず濁った香り立ちにならず、はじめから終わりまで透明感を保っている点に調香師の技量を感じました。
「ガール」という名称で敬遠せず、ぜひ男性にも試して頂きたい香りです。

トミーガールの調香師はカリス・ベッカー氏。バイキリアンで主要な商品の調香をほぼすべて手掛けているほか、ディオールの「ジャドール」やエスティローダーの「ビヨンドパラダイス」の調香でも高名な世界的調香師です。

トミーガールが似合う季節と場所


軽やかで明るい光を体現したかのような香りですから、春夏にかけて活躍してくれることでしょう。あえて冷たい空気に中で凛と香らせるのも素敵です。

わたし個人は蒸し暑い夏場、日中に纏ってお出かけすることが多かったです。
高い湿度や気温の中でも不快な香り方をしないので、香水に抵抗のある方でも使いやすいのではと思います。

トミーガールの香りの持続時間


軽い香りというイメージで売り出したかったのでしょうか、ボトルの表に「コロン」と印字されていますが、商品の分類としては実は「オードトワレ」に属します。実際トワレ並みの賦香率で、香り持ちもなかなか。4時間程度はしっかりと香りを保ってくれます。

パルファンやオードパルファンを纏う時より広めに面で纏うことを意識し、ふんわりと光を浴びるイメージで香りを楽しんでいます。

こんな人にオススメ

 

・レモンティーの風味を感じられる香水をお探しの方
・爽やかで洗練された、シーンを選ばない香水をお探しの方

96年発売という古い香水ながら、今の時代にも問題なく通用するサッパリと気持ちのいい香り。昨今は奇をてらった複雑な香水も多いので、「トミーガール」のシンプルでまっすぐな香りにホッとします。
これからも愛用し続けたい、不朽の1本です。

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