SAKURA / さくら【香水レビュー】

2015年、ミヤシンマパルファンより発売された「さくら」の香りを紹介致します。
以前紹介した「きものさくら」とはまた異なる香りです。

KIMONO SAKURA / きものさくら【香水レビュー】

2020-01-26

私的偏愛度:☆☆☆☆★
私的オススメ度:☆☆☆☆☆
 
昨年秋に公式サイトより全商品のサンプルセットを取り寄せて以来、いちはやくすべての香りを紹介させていただきたいという気持ちに駆られているものの、遅筆ゆえに執筆が遅れています。今回は、「きものさくら」、「ひのき」に続き「さくら」の香りを紹介します。
特に紹介する順に意図はなく、この度に関しては「春のうちにぜひ紹介しておきたい」という気持ちで「さくら」を選びました。

われわれ日本人が桜の花に抱く特別な愛情について、いつも不思議に思います。あの淡い色味、透けるように薄い花弁、微かな香り、そして一瞬のうちに散りゆく儚さに、わたしたちの愛する「情緒」のすべてが凝縮されているのでしょう。
そんな、わたしたちが桜の花を前にして胸に抱く郷愁や慈しみの気持ちが、この「さくら」の香りには詰め込まれているように感じます。
「さくら」の香りというと、桜餅に代表されるほんのりと塩気のあるふくふくと甘い芳香を連想することが多いですが、この香水に関してはそうではありません。胸がきゅんと鳴るような、奥ゆかしいフルーティーフローラル調の香りが穏やかに続きます。けっして「和風」な印象が強く表に出た香りではないのですが、根底にホッと心やすらぐふっくらとした桃色の香りーおそらくクマリンやヘリオトロピンを基調としたベース香ーが感じられ、それに締め付けられるようななつかしさを覚えます。
「きものさくら」と比較してさらに軽やかで透き通った仕上がりで、より春らしく、可愛らしい表情が印象的。ライトなフルーティーフローラル調の香りというと、平面的で輪郭の粗いチープな仕上がりのものも多い中、「さくら」はどこまでもふっくらと柔らかく、繊細な香りを優しく放ち続けます。一見よくありそうな香りに思えてその実、非常に練られて作り込まれた作品であると、わたしは考えています。
この香りを嫌がる方はそういらっしゃらないのではないでしょうか。もしも究極のモテ香水なるものが存在するのであれば、それはこんな香りではなかろうかといつも思うのです。

HINOKI / ひのき【香水レビュー】

2020-03-08
 
さくらの香りの構成と特徴


明るいシトラス様の香りにはじまり、かすかなグリーンノートのアクセントを得て、クリーミーなサンダルウッドとムスク、そして深く甘い樹脂が香ります。

香りの構成は下記の通り (Fregranticaの香りを参照しています) 。

 トップ:ローズ、シトラス、ジャスミン
ミドル:ピオニー、ローズ、ブラックカラント
ベース:ムスク
 

意外にも、穏やかなシトラス調の香りにはじまる「さくら」。
グレープフルーツとレモンのミックスでしょうか、澄んだ清流を思わせる香りから幕あけ、直後オレンジのみずみずしい甘さが加わります。と同時に、ロマンティックな桃色のローズエッセンスが勢いよく香り出し、視界は一気に桜吹雪に染まるよう。そのまったくえぐみのない、やわらかく繊細な薔薇の香りはジャンパトゥの「ジョイ」を思い起させます。質のよい香料を用いているのだろうと伺えます。
ところで、桜はご存じの通りバラ科の花木。わたしたちにもっとも馴染み深いソメイヨシノはほとんど芳香を持たない品種ですが、芳香を持つ桜はいくつかあります。それらの香りを分析すると、やはりその成分はバラの花のそれに共通するものを多く含んでいるのだそうです。はじめは「桜の香りを表現するのにバラ?」と疑問に思ったのですが、それはとても妥当なことだったのだと気が付いたのでした。
やがて、紫色のインクを一滴ポタリとこぼしたような、澄んだ深いフルーティー香が滲み重なりはじめたら、それがミドルノート突入のサイン。香り立ち自体はフレッシュで軽やかであるのに、その輪郭は桃色のふっくらとふくらみのある優しい甘い香りに包まれ、羽衣を纏っているようです。そっと薄化粧されたみずみずしいフルーティーフローラル調の香りはラストまでその印象を変えることなく続きます。
「さくら」を調香したのはブランドのオーナーでもある新間美也氏。フランスへ渡り、サンキエームサンス校で調香を学び、巨匠ジャン・カールの弟子であったモニック・シュランジュ氏に師事。現在もフランスに住み、クリエーションを続けています。

JOY PARFUM / ジョイパルファン【香水レビュー】

2020-04-21

さくらがにあう季節と場所


よい意味でとても普遍的な香りですから、いつでもどこでも使いやすい香水ではあるのですが、やはりさくらの季節に纏いたい1本です。
この香りには特有の、心が浮き立つような桃色のオーラがあり、やはりそれは花々がほころぶ春の空気にこそぴったりと合うものであると思っています。もしくは真冬。凍るような寒空の中に桃色の花を咲かせたいときにはこの香りを纏うのですが、それはそれでまた非常に美しいものです。

さくらの香りの持続時間


オードパルファンのみの発売です。
一般的なオードパルファンと比較すると、香り持ちはやや控えめ。フレッシュな香り立ちなので仕方のないことです。
この香水は、トップからラストにかけて大きな転換がなく、その香りには一貫した軸があります。そのため、途中で重ね付けをしたとしても、香りが喧嘩をすることはありません。長時間にわたる外出の際には、アトマイザーを持ち歩くとよいでしょう。

こんな人にオススメ
 
・上品で可愛らしいフルーティーフローラル調の香りをお探しの方
・情緒的でやわらかい春の香りをお探しの方

桜のように誰からも愛され慈しまれるシンボルを香りに落とし込むのは非常に難しいことだと思いますが、この香水はそれを難なく成し遂げています。嗅げば嗅ぐほどに、そのふくよかで、それでいてたおやかな優しい香りに魅了されます。纏っていると、桃色のガーゼにふわりと身をつつまれたかのような幸福感に満たされる、すばらしいフレグランス。花を愛で、春の訪れを歓ぶすべての人に、ぜひ試していただきたい1本です。

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ミヤシンマパルファン
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