MON PARIS / モンパリ【香水レビュー】

2016年、イヴサンローランから発売されたフレグランス、「モンパリ」を取り上げます。 本記事はサンプルを一定期間試した上でのレビューであり、わたし自身はこの香りのボトルを所持していないことを明記しておきます。

私的偏愛度:☆☆★★★
私的オススメ度:☆☆★★★
 
「リヴゴーシュ」や「シネマ」、「クーロス」に「オピウム」、そしてソフィア・グロスマンが担当した「パリ」。
数々の名香を世に生み出してきたイヴサンローランのフレグランス市場における確固たる指針表明がこの「モンパリ」なのかと、発売当時は少しだけ悲しくなった覚えがあります。「ベビードール」のあたりから傾向は見えていたものの、その香り自体は「インラブアゲイン」の面影を残したとてもいいものでした。
「モンパリ」も、もちろんけっして悪い香りではありません。が、やはり往年の名香たちと比べてしまうと、個人的には物足りなさが残ります。あと数年で30歳を迎えようというわたしにとっては、「若すぎる」香りで居心地が悪いというのがその「物足りなさ」の解やもしれません。
その点、最新作「リブレ」にはかつてのこだわりを取り戻そうといわん熱量を感じ、わたし個人にはより刺さる香りでした。 

さて、すこし脱線しますが、ディオールの「ミス・ディオール ブルーミングブーケ」とこの「モンパリ」のビデオ広告には、各種SNSを通じて頭が痛くなるほど直撃されました 。「モンパリ」のビデオの終盤にはエッフェル塔から落下するように回転する映像が含まれており、酔いやすいわたしは長時間見つめていると実際頭が痛くなるのでした。
いち香水好きの消費者としては各ブランドのメディア第一主義な戦略に寂しさを覚えるわけなのですが、事実として大企業の、かつラグジュアリーブランドであれば年間に消化しなくてはならないメディア予算は数千億単位、そしてそのメディア戦力の結果として香水に対する間口を広げ若い世代にも自社の商品を手を取ってもらわねばならないわけですから、「愛」をテーマにピンク色のジュースと黒のリボンがかわいらしい「モンパリ」は戦略的に正しい選択だと理解できるのです。ゲランとディオールはもとより、同じLVMHに属するジバンシィも「ランテルディ」とオードリー・ヘップバーンの知名度を強みに似た道を選びましたし、ランコムも最新作「アイドル」(日本未入荷) で同路線に乗ってきた印象。シャネルのみはまだ「シャネル」というブランド色を最大限キープし続けているように思いますが、それも今後はどうなることやらわかりません。
こうした大手ブランドの取り組みの末に、香水を手に取る方が増えればそれは非常に喜ばしいことだと思います。

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モンパリの香りの構成と特徴


キャンディライクな甘いフルーティー香が力強く香ります。

香りの構成は下記の通り (Fragranticaの記載を参照しています)。

 トップ:イチゴ、ラズベリー、ペアー、ベルガモット、
キャロン、オレンジ、タンジェリン
ミドル:ダチュラ、ピオニー、オレンジブロッサム、ジャスミン
べース:パチュリ、ホワイトムスク、
アンブロキサン、シダーウッド、モス、バニラ
 

やや平坦でベリー様の甘い香りで幕開ける「モンパリ」。
あらゆる障壁から解放された自由な「愛」の謳歌がテーマの香りとのことなので、この冒頭の突き抜けるような勢いにも納得です。天然のエッセンスというよりは、合成香料を基調とした調合香料による調香でしょう。特定のフルーツの香りが感じられるというよりは、ただただパワフルな桃色の香波が押し寄せてくるといったイメージです。ちなみにキャロンとは煮詰めたメロンを思わせる濃厚なフルーティー香が特徴の合成香料、そしてアンブロキサンもほんのりとスモーキーであたたかいアンバー香が特徴の合成香料なのですが、基本このような合成香料はブランドサイドが出す表記にはクレジットされることがないので、fregranticaのページを書いたライターの方が嗅ぎ取って香りのピラミッドに追加したのでしょう (か?実はfragranticaの仕組みがあまりよくわかっていません) 。
冒頭はあまりの甘さに驚いてしまうほどですが、中盤以降トップの鮮烈な甘さは徐々に落ち着きを見せ、ドライなウッディベースを基調にムスクがふんわりと香りを和らげます。ミドルにクレジットされたフローラル系のアコードはわたしの鼻では感じ取ることができませんでした。含まれていたとしても主張するほどではありません。ともかく、中盤から終盤にかけてはよい香りが続きます。序盤の甘い余韻を残し、それが心地よい塩梅で軽く、そしてあたたかく肌に残ります。

「モンパリ」を調香したのは、オリヴィエ・クリスプ氏とハリー・フレモン氏、そしてドーラ・バグリッチ氏の三名。オリヴィエ・クリスプ氏はドルチェ&ガッバーナの「ライトブルー」やティエリーミュグレーの「エンジェル」を調香したことでその名を広く知られています。

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モンパリがにあう季節と場所


トップの均一な甘さがもう少し控えめであればより汎用性の高い香水であると感じますが、実際は上に記述した通りで冒頭で好みが分かれるでしょう。あたたかい時期にはしつこく感じる方もいらっしゃるでしょうから、基本的には秋冬向けのフレグランスであると思います。
ボトルのデザインから見ても比較的若い年代の女性がターゲットの商品でしょうし、確かにその年代の方が纏うと溌剌とした明るい雰囲気が出てかわいらしい印象になりそうです。とはいえトップを過ぎれば香りは格段に落ち着き、ほどよい甘さが肌に残りますから、ミドル以降の香りで見れば大多数の人が好ましく使えるのではないでしょうか。
脱線してしまいましたが、オフィシャルなシーンよりはカジュアルなシーンで映えそうな1本。プライベートなお出かけ向けにはピッタリです。

モンパリの香りの持続時間


オードパルファンのみの展開です。 
香り持ちは十分で、5時間ほどは優に香っていました。わたしの場合は上半身にこの香りをつけると酔ってしまうことが多く、纏う際にはなるべく下半身にスプレーするようにしています。合成香料を主として創られた起伏の乏しい香りには広く言えることですが、香りが肌からふんわり立ち上るというよりは、香りが肌に強く定着するといった表現が適切な、ややべったりとした香り方をします。それゆえつける際には極力少量を肌から離れたところからふわりとのせることを意識しています。
再び脱線しますが、季節や体調だけでなく、纏い方で香りが大きく異なってくるのが香水のおもしろく、そして興味深い点だと思います。
同じ香水でもアトマイザーや肌へスプレーするときの距離、のせる場所などを変えると香り立ちが大きく異なることがあるので、ぜひ様々な香水でご自身の最適解を探ってみてください。

こんな人にオススメ
 
・恋のお守りになってくれるような情熱的な香りをお探しの方
・キャンディを思わせる甘い香りがお好きな方

売り上げを伸ばすために、ラグジュアリーブランドサイドが消費者サイドまで下りてきて、より親近感を持ってもらうためにターゲットの趣向に迎合するというのはどのブランドでも顕著におこなわれていて、今回の「モンパリ」はそれが表れた商品だといっていいでしょう。結果、言葉を選ばずに言えば香りがやや「チープ」に仕上がっていることは否めません。けれど、最終的に売れたもの勝ちなのですから、それが正しい道なのです。市場のトレンドを作り出すのは若い世代ですから、彼らに愛される商品を創るのがメーカーの勝ち筋です。
われわれ消費者が見る目、よいものを見極める目を養っていけば、最終的にブランドと消費者が出会う地点は今よりももっともっと高みに達するはず。そんな未来を夢見て、自らの研鑽を積むためにも本ブログの執筆を頑張ろうと思っております。

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