Eau d’orange vertre / オードランジュヴェルト【香水レビュー】

エルメスを代表する香りのひとつ、「オードランジュヴェルト」を紹介いたします。
下に引用した公式HPの説明にある通り、1979年フランソワーズ・キャロンが手掛けた伝統あるコロンは、2009年ジャン=クロード・エレナの手によってリクリエーションされました。度々引用している世界香水ガイドでも、ルカ・トゥリンは「よいコロンだ」と評し☆4つを付与しています。

「《オー ドランジュ ヴェルト》 は、だれもが自身の中に抱いている「星の王子様」の香り」
1979年にフランソワーズ・キャロンが手がけた最初のコロン。朝露にぬれた森の緑にインスピレーションを得た香りは独自のさわやかさが特徴的で、エルメスを代表する香りとして認められてきました。シトラスノートがはじけるごとくイメージされたこのコロンでは、レモン、マンダリン、ミント、カシスの芽などの果皮と葉の香りの中で、オレンジが主役を演じています。ウッディのシグネチャーにオレンジのみずみずしさが加わった、いきいきとしたフレッシュさのあるオーデコロンです。
私的偏愛度:☆☆☆☆☆
私的オススメ度:☆☆☆☆☆
 
エルメスから発売されているコロンシリーズはどれも非常に品よく使い勝手よく、愛用しているものばかりです。中でももっとも好きなのが、この「オードランジュヴェルト」に他なりません。透き通った水面を思わせるグリーン、凛と冷たく甘いカシス、そして陽光に似たみずみずしいオレンジ。誰にとっても好ましい美しいものが完璧なバランスで組み上げられた、最高品質のコロンと言って差し支えないでしょう。纏うと心身が冷水で洗い清められたような、さっぱりとして靄の晴れた爽快な気持ちで満たされます。
幼い頃、夏場になると近所の小川までよく遊びに行きました。キンと冷えた水流の心地よさ、足裏に触れる大きな石ころ、緑の木陰、喉を潤してくれた氷の浮かんだオレンジジュース。そんな輝かしい思い出を心に蘇らせてくれる香りであり、それが「だれもが自身の中に抱いている『星の王子様の香り』」と記された所以なのではないかと感じる次第です。目には見えない、けれど他には代えがたい大切な記憶を自分自身につなぎとめてくれるかのような香水であると思っています。
以前記事にしたクリスティーナ・ナジェル作「オードルバーブエカルラット」と並びお気に入りで、気分に合わせて使い分けています。これからの季節、大活躍してくれること間違いありません。

Eau de Rhubarb Ecarlate / オードゥルバーブエカルラット【香水レビュー】

2019-08-11
 
オードランジュヴェルトの香りの構成と特徴


氷とミントの葉を浮かべたみずみずしい果実と清流の香りに包まれます。

香りの構成は下記の通り (Fregranticaの記載を参照しています)

 オレンジ、レモン、マンダリンオレンジ、ミント、
カシス、パチュリ、オークモス
 

冒頭で香るのは、爽やかでほんのりとビターなレモンピールの香り、すっきりとして甘い、みずみずしいオレンジと青いミントの葉。
ひんやりと冷たいミストを全身に受けているかのような、心地よいオープニングです。後と追いかけて淡いオークモスが木々の木陰を思わせる陰影を与え、香りに深みを添えています。枯れた渋みのあるそれではなく、あくまでもみずみずしい生気に満ちた夏の青葉を思わせるグリーン香であることに驚かされます。果汁たっぷりのオレンジと冷風のごとしミント、そして凛と涼しいカシスとの組み合わせの妙でしょう。
いたってシンプルな香りですが、過不足なく必要なものが必要な分だけすべて含まれているのを感じます。まるで、たっぷりの氷とミントの葉、そしてレモンの皮を浮かべたカシス・オレンジジュースの海に身を浮かべているかのよう。猛暑を乗りきるに最適の香りです。
夏向けのコロンというとベルガモットやレモン一辺倒の喉の奥がツンとするアロマティックシトラス調の香りを連想しますし、実際それらはいい香りではあるのですが、より「香水」らしい彩を併せ持つ香りを求めていました。そんなわたしにとって、これ以上ないコロンであると言えます。


「オードランジュヴェルト」の調香師は、上で述べた通りジャン=クロード・エレナ氏。長らくエルメスにて専属を務めた非常に高名なパフューマ―です。現在は娘のセリーヌ・エレナと共にザ・ディファレントカンパニーで調香を担う他、先のサロンドパルファンでも出展のあった「クヴォンデミニム」の総監修を務めたことでも話題となりました。以前記事を書いた「ナイルの庭」や「テールドエルメス」、「オスマンチュス」は彼の作品です。

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オードランジュヴェルトがにあう季節と場所


初夏から夏の終わりにかけて、これ以上ないほど美しく香るフレグランス。上品であるけれども人を寄せ付けない敷居の高さのようなものはなく、誰にとってもどんなシーンにおいても好ましい香りです。仕事場へはもちろん、プライベートな外出時にもよく使います。人も環境も選ばぬ普遍的な美を香りに落とし込む手腕において、ジャン=クロード・エレナ氏に匹敵するパフューマ―は存在しないのではないかとさえ思えてきます。

オードランジュヴェルトの香りの持続時間


手持ちはオーデコロンです。「コンセントレ」と名のついた商品やシャワージェル及び石鹸等の展開もあるようですが、わたし自身は試したことがありません。香りの持ちは3時間程度、一般的なコロンと変わりありません。湿度の高い日本の気候でもけっしてしつこく香らないありがたい商品です。
全身に3-5プッシュしても不快な香り方はしないでしょう。むしろ多めに面で纏ってはじめて真価を発揮する香りであると思います。

こんな人にオススメ
 
・シトラスシトラスしすぎない夏向けのコロンをお探しの方
・ひんやりと冷たくみずみずしい、フレッシュな香りをお探しの方

エルメスを代表する数多くの名香の中でも、取り分け好きな香りです。これからもずっと愛用し続けたい、誰にとっても「上質なオーソドックス」を体現する1本となり、その人生を彩る香りであると感じています。

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