DOM ROSA / ドムローザ【香水レビュー】

2013年、リキッドイマジネからローンチされた「ドムローザ」の香りを紹介します。
以前、「ラクリマ」の記事を書いた際には言及し損ねていたためここで簡単に触れておくと、リキッドイマジネとはフランスで現在もっとも勢いのあるニッチフレグランスメゾンのひとつです。
元ラルチザンパフュームのマネージャーを勤め、自身が運営していたフレグランスバーを起点にパリで「バレード」を大流行させるなど、フレグランスビジネス界で才覚を発揮するダヴィッドと、彼と意気投合し、ブランド創立の要となったプロダクトデザイナー、フィリップがジボダン社の協力を得て立ち上げた「リキッドイマジネ」。
「イメージを液体に閉じ込める」を主題に、香りのコンセプトに応じてトリロジー (三部作) にて作品を生み出し続けています。
リキッドイマジネの作品は昨年よりちびちびと試し続けており、ようやく全種類それなりの量、そしてそれなりの期間堪能し
終えたので、ここから記事を増やしていく予定です。

LA-CRIMA / ラクリマ【香水レビュー】

2020-02-23

GYPSY WATER / ジプシーウォーター【香水レビュー】

2020-03-27

私的偏愛度:☆☆☆☆★
私的オススメ度:☆☆☆☆★
 

公式より (使用許可取得済)

今回紹介する「ドムローザ」は、数ある商品の中でももっとも人気が高く、インターナショナルベストセラーをも獲得した、いわばブランドの顔とでもいうべく商品。
トリロジー「レゾウサンギーヌ」、つまり、血液を思わせる神聖なワインを表現した香りのラインナップに属する1本で、その中でももっとも軽やかな「ロゼシャンパン」に着想を得たフレグランスです。
香水をはじめて試す際、「なんていい香り」と感銘を受けたり、はじめて体験する香りに衝撃を受けることがありますが、この「ドムローザ」を香ったときにも非常に大きな驚きがあったことを覚えています。シャンパンの注がれたグラスを口元に近付けたときに感じる、シュワシュワと弾ける細かい気泡。あの質感と香りがそのままに再現されており、「香水を通じてこんなにも大胆な表現が可能なんて」と感嘆しました。
お酒、例えばトロピカルカクテルをイメージした香りであったり、ラム酒やウイスキーを思わせるアコードを用いた香水は数多くありますが、「炭酸」特有のはじける冷たい空気と水の「動感」を再現した香水というと、現状知る限りではこれくらいしか思い浮かびません。そういった点で、非常にオリジナリティに溢れた唯一無二の香りであると感じています。
また、この香りのテーマである「犠牲になった薔薇」というストーリーもなんとも詩的。
ブドウ畑のそばには一緒に薔薇の木が植えてあることが多いそうですが、それはブドウの木よりも害虫等に強い薔薇の木が、ブドウの生育を阻害するさまざまな悪いものを代わりに吸い取ってくれることを期待してのことだといいます。実際、ブドウが無事に育つ頃には、傍らの薔薇は役目を終えて枯れてしまうのだとか。
シャンパンをテーマに香りを創ろうと思い至ったフィリップは、この薔薇の木のストーリーをもその香りの中に入れ込むことを決めたそうです。
そして、一瞬で消えてしまうシャンパンの泡の香りの中に、「限りある短い今を楽しんでほしい」というメッセージも込めたのだと話していました。
他のフレグランスとは一味違うドライでシャープな薔薇の香りが新鮮で、これからの季節重宝することになりそう。
肌にのせたとき、ムエット上ほど綺麗に香らせることができなかったという一点のみで偏愛度は☆4つとしましたが、広くオススメしたい素敵な香りであることは確かです。
 
ドムローザの香りの構成と特徴


細かな泡が弾けるロゼシャンパンの香りが鼻腔を満たします。

公式から発表されている香りの構成は下記の通り。

 シャンパンアコード、グレープフルーツ、ペアー、
ダークローズ、クローブ、インセンス、
ウッディアコード、シダーウッド、ガイアックウッド
 

上でも述べたように、シュワシュワと弾けるシャンパンの泡の香りにはじまる独創的な「ドムローザ」。
「シャンパンアコード」というのが一体どんな香料の組み合わせで創られているのかはわかりませんが、実際に酔えそうなほどにリアルなお酒の風味と共に細かな気泡の質感が押し寄せます。この鼻を突き抜けていくような炭酸特有の清々しい勢いは、ライムやグレープフルーツをはじめとしたシトラスノートが担っているようです。10分ほどはしゅんしゅんと沸き立つように軽やかに香るトップノートですが、徐々にみずみずしいナシの香りが落ち着きを添え、ベースのドライなウッディノートの支えの上に透明感のある薔薇の香りが漂い始めます。知っているローズの香料と比較すると幾分甘さの押さえられたアクアティックな香調であり、ゼラニウムを主体にいくつかの合成香料を組み合わせた調合香料ではないかと思えます。スモーキーなフィルターを通した桃色の薔薇が浮かぶやや退廃的な香りで、とても好きです。
冒頭から続く「シャンパン」の風味はそのままに、この乾いたほんのりとダークな薔薇が名実共に華を添えるよう。微かに響く暗く鋭いクローブの香りが翳りを与え、ピリリと引き締まった印象に整えているのが印象的です。このローズとクローブというのはわたしの中で鉄板とも言える大好きな組み合わせ。本作ではそこにシャンパンの香りとみずみずしくあざやかなシトラス・フルーティノートを加え、これまでに嗅いだことのない個性的な展開を描いており、組み合わせの妙が生む新たな表情に感銘を受けました。
この香水の真骨頂はいわばトップの驚きとそこから展開していくミドルノートにあり、後半は大した変化を見せず先細りになってしまう点のみ少しだけ残念に思います。が、上でも述べた通りこの香水は魅力は唯一無二の冒頭に凝縮されています。繰り返し吹き付けて、限りあるその「瞬間」を何度でも愉しみたくなる、すばらしいフレグランスです。

「ドムローザ」の調香師は、ジボダン出身のソニア・コンスタン氏。自身のメゾン「Ella K (エラケイ)」を立ち上げていることから、日本でもその名を広く知られている女性調香師です。

ドムローザがにあう季節と場所


季節や環境を選ばず使いやすい香りの筆頭であると思います。
シャンパンがテーマなだけあって冒頭から軽やかで透明感のある香りですから、お酒の香りやローズの香りに苦手意識のある方以外には広く受け入れられやすい香水でしょう。品よく落ち着いたフレグランスなので、オフィシャルなシーンでも気負わず手が伸びます。

ドムローザの香りの持続時間


オードパルファンのみの展開です。
香り持ちは平均程度。他のリキッドイマジネの作品と比較すると、軽やかな香調であるがゆえですが多少持ちは短く感じました。
長時間の外出の際はアトマイザーに移したものを持ち運ぶようにしています。

こんな人にオススメ
 
・ロゼシャンパンの香りを再現した個性的な香水に興味のある方
・キリリとシャープで透明感のある薔薇の香りの香水をお探しの方

非常に個性的、かつ実用的なボトルの造形や公式のビジュアル素材が生み出す世界観含め、魅せ方にまでこだわったとても面白いブランドである「リキッドイマジネ」。今後発表される新作もいちはやく試させていただきましたが、これまた非常におもしろく、ひと嗅ぎで情景が浮かぶような、まさに「イメージを液体に詰め込んだ」かのごとし香水でした。今回取り上げた「ドムローザ」は、中でもブランドの神髄を体感できるエッセンスの詰まった香りであると思います。今後の展開も楽しみです。

created by Rinker
リキッドイマジネ
¥35,999 (2020/05/25 14:02:07時点 Amazon調べ-詳細)