DIOR JOY / ディオールジョイ【香水レビュー】

前回の記事でジャンパトゥの「ジョイ」を取り上げたので、本稿ではディオールの「ジョイ」を続けて紹介しようと思います。 
以前、SNSで「ディオールのジョイはジャンパトゥのジョイのリメイクなのでしょうか」とご質問を頂戴したことがあります。実際同じ名前が冠されていますし、ジャンパトゥもディオールの親会社であるLVMH社に買収されたとあっては、そう思われる方がいらっしゃって何ら不思議はありません。
ところが、本「ディオールジョイ」は、ジャンパトゥの「ジョイ」とはまるきり異なる香りなのです。
ディオールは、「ジョイ」という名称が使いたいがためにジャンパトゥの以前の親会社であるデザイナーパルファン社へ交渉をしていたというような記事もチラリと目にしました。なぜディオールサイドがそこまでこの名前にこだわったのかはさだかではありませんが、兎にも角にもそのような背景を経て、稀代の名香と名を等しくした新しい香水が20年ぶりという歳月の果てに誕生したのです。2018年のことでした。
尚、本稿はいただいたサンプルを数本使い切った上でのレビューであるということのみ明記しておきます。ボトルは所持しておりません。
また、残念なことに現在「ジョイ」は生産を終了しており、より香りを強めた「ジョイインテンス」のみ販売されています。「インテンス」版についてはまだ香りを試すことができていないため、本稿で触れることはありません。

JOY PARFUM / ジョイパルファン【香水レビュー】

2020-04-21

私的偏愛度:☆☆★★★
私的オススメ度:☆☆★★★
 
この香水に対する感想を言葉にするのはどうにも難しい作業です。失礼に響くのを覚悟でいうならば「ジョイという名前にしなければよかったのに」というひとことに尽きます。比較するものではないとわかってはいても、同じ名前を冠してあるとどうしても香りを比べてしまいがちです。その比較対象が世界中に名の知れた名香とあっては、(香りに貴賤や勝ち負けはないとわかってはいても) 勝負ははじめからついているようなものです。
とはいえ世界最大手のひとつ、LVMH社が資金をつぎ込んで開発した新商品、まして業界から注目を集める20年ぶりの新作フレグランスですから、そのネーミングには必ず何か意味があるはずです。ジャンパトゥの「ジョイ」と並べられることは想定内のはずですし、むしろそれこそが狙いであったのかもしれません。
先入観にとらわれずフラットに香りを観てみると、けっして悪い香りではありません。悩んだ末、先日レビューしたイヴサンローランの「モンパリ」と同じ☆ふたつをつけましたが、個人的には「ディオールジョイ」の方にわずかに軍配が上がります。特にシトラスの効いたトップノートは爽やかで、心地よいものです。
ただ、ミドル以降むわっとしたムスキーな質感の中にパウダリーな甘さが強く主張するので、好みがわかれそうです。同ブランドの商品であれば、「ミスディオールブルーミングブーケ」や「ジャドール」の方が汎用性が高く、より広く好まれやすい香りに思えます。
実際「ジャドール」はここ数年、シャネルをはじめとする競合を抑え、インターナショナルセールス首位を獲得し続けていますね。メンズフレグランスの部門でも、同じくディオールの「ソバージュ」がトップを独占しています。
ビジネスにおいてもっとも難しく、そしてチャレンジングなタイミングというのは、市場で1位を獲得したときではないでしょうか。追う者がいなくなり、追われる側になってはじめて、どうやって自身の足でさらに市場を開拓すべきか、より真に迫って考えるようになります。
そう考えた上で再度「ディオールジョイ」について思いを巡らせてみると、なるほどここ最近のデザイナーフレグランスにはあまりない、新しい系統のフレグランスであると気が付きます。シャネルの「ガブリエル」や「チャンス」しかり、「モンパリ」しかり、ライトなフルーティー・フローラル調の香りが主流な中、フレッシュなシトラス調の香りにはじまりムスキー・パウダリーな甘い香りへと転じる「ジョイ」は、型にはまらない独創的な女性らしさの表現のようにも感じられます。長く使ってみると、はじめはしつこく感じられたその甘さが癖になるように思える瞬間もありました。秋冬向けにまろやかでスウィートな香水をお探しの方は、一度店頭で香りをお試しになってみてください。

MON PARIS / モンパリ【香水レビュー】

2020-04-15
 
ディオールジョイの香りの構成と特徴


明るいシトラス様の香りにはじまり、かすかなグリーンノートのアクセントを得て、クリーミーなサンダルウッドとムスク、そして深く甘い樹脂が香ります。

香りの構成は下記の通り (Fregranticaの香りを参照しています) 。

 トップ:ベルガモット、マンダリン
ミドル:ローズ、ジャスミン、カッシア、ピーチ
ベース:サンダルウッド、ムスク、パチョリ、シダーウッド、ベンゾイン
 

冒頭ベルガモットとマンダリンのフレッシュな香りに幕開ける「ディオールジョイ」。
ただスッキリしたシトラスの香りに終始するわけではなく、その中にもフルーティー調の甘いノートが含まれ、やわらかい印象です。この甘いノートは何度香っても独特で、角はなく丸みを帯びているものの厚みはなく平坦な香りに感じます。淡いピンク色をした平たくて円形のフォルムのその甘さが横たわっているおかげで、全体に女性らしい雰囲気がうまれているようです。
15分ほど経過すると、パウダリーなサンダルウッドが顔を出し、ふくふくとしたあたたかみを加えます。パウダリーといえども決して粉っぽいというわけではなく、軽やかでふくらみのある質感。暖房であたためられた空気のように、肌をぬくぬくとくるみこみます。そこへ樹脂様の甘い香りが重なり、きめ細かく柔らかな真綿のごとしニュアンスが感じられます。慣れるまではこの独特の肌触りに息苦しさを覚え、あまり得意ではなかったのですが、つけ方を工夫しながら長期間に渡って付き合ううちにいつの間にかどことなく癖になる香りだと思うようになりました。
デュマシー氏いわく、くるくると表情を変える光を表現した香りで「喜び」を表現したかったとのこと。確かに、トップ・ミドル、そしてラストへとその姿を変えていく様は、さながら光の一生のようです。みずみずしくきらめく朝陽に始まり、燦燦と輝く日中の輝き、そして沈みかけの煌煌と熱を放つかすんだ暁色の光。
かつて、パトゥの「ジョイ」には突き抜けるような魂ゆさぶる歓喜を感じましたが、この「ディオールジョイ」にはそこまでの澄んだ熱情は感じ取れません。ただ、穏やかに一日が過ぎていくことの幸福をかみしめるかのような、じんわりとした喜びがそこには込められているのかもしれません。
「ディオールジョイ」を調香したのは、上でも触れた通りフランソワ・デュマシー氏。ディオールの専属調香師を務めていることで有名です。

Miss Dior BLOOMING BOUQUET / ミスディオール ブルーミングブーケ【香水レビュー】

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2020-04-01

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2020-04-15

ディオールジョイがにあう季節と場所


基本的には秋冬向けのフレグランスだと思っていますが、そこまで重い質感ではないため、甘い香りがお好きな方であれば1年を通じて愛用できるのではないでしょうか。わたし自身はやはり、寒い季節の香り立ちの方がスッキリ感じられて好きです。

ディオールジョイの香りの持続時間


オードパルファンのみの展開です。香り持ちは平均以上。
前述した通り後半甘さが主張するため、身に纏う際は下半身にスプレーするように気をつけています。
基本的には付け直しの必要ないフレグランスだと思っていますが、各人の好みに応じて適切に付け直し等判断ください。

こんな人にオススメ
 
・ふんわりと柔らかい雰囲気を纏える香りをお探しの方
・秋冬、日常使いするためのほどよく甘い香りをお探しの方

冒頭で述べた通り、本「ディオールジョイ」は現在は廃盤となり、現在は「ディオールジョイインテンス」が継続発売されている模様です。「インテンス」版についても、じっくりと香りを試し次第記事を書きたいと思います。どうぞお楽しみに。

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