【イベントレポ】イストワール・ドゥ・パルファン新作「7753」の香りを紹介【世界先行発売】

NOSE SHOP銀座店にて開催された、HISTOIRES de PARFUMSイストワールドゥパルファン)の新作発表イベントに参加して参りました。
ブランドの創業者であり、調香師でもあるジェラルド・ギスラン氏を迎え、新作フレグランス「7753」の誕生背景や香りの説明も含む1時間のトークセッションにより構成されたイベントは非常に学び多く、ワクワクと胸躍る楽しいものでした。
定員6名のアットホームなイベントでしたので、今回参加が叶わなかった方々にもそのワクワク感が伝わるようなレポートをお届けできたらと思います。

カラフルなスカーフタイがお似合いのジェラルドさん。
明るく闊達とし、知的でユーモアに富んだとても素敵な方でした。
日本に暮らしていると、世界で活躍されている調香師の方にお会いできる機会はそう多くありません。 まして、ご本人から作品の紹介を伺えるなんて非常に珍しいことで、いち香水ファンとして胸が高鳴りました。

イベント冒頭、まずは「イストワールドゥパルファン」というブランドについてご本人から説明がありました。

HISTOIRES de PARFUMS (イストワールドゥパルファン)とは?:
南フランスに生まれ、モロッコで育った創業者 Gerald Ghislain (ジェラルド・ギスラン)氏が2000年に創立したブランド。
「イストワール」というと「歴史」、つまり「
過去に起こったこと」という意味でよく用いられますが、ギスラン氏はこの言葉に「ストーリー (物語)」という 意味を込めたといいます。
作家が言葉で、作曲家が音符の並びで物語を表現するのと同じように、彼は「香りで物語を紡ぐ」ことを大切にしているそう。そしてその物語が、香りを身につける人それぞれの元でさらに新しいストーリーを生み出していくことを願っているといいます。
このメゾンで創られた香りたちが「嗅覚で読む本」と表現されているのは、そんなギスラン氏の並々ならぬこだわりから来ているのだと実感し、感動しました。


ギスラン氏は料理人として自身のレストランを持っていた経験があり、「」にも深いこだわりがあるのだと言います。
香りを創る際、どこかに「おいしそう」なエッセンスをひとさじ加えているのだと教えて下さいました。
確かにイストワールドゥパルファンの香水は、スパイスの匙加減が絶妙な香りが豊富に揃っているなと思い至ります。

また、上記の経験から、ただおいしい料理があるだけでは足りず、居心地のよい空間づくり、質のよいサービスなど隅々まで気を配り、調和の取れた体験を提供することの重大さを心に留めているそう。
イストワールドゥパルファンの香水においてもそれはしかり。香りそのものにこだわり抜くだけでなく、パッケージの美しさやボトルの造形ひとつひとつにも気を配っているといいます。
もともと「1828」と「1969」の香りを愛用しており、とても好きなブランドでしたが、調香師ご本人のお話を伺ってますます好きの気持ちが膨らみました。

1828 【香水レビュー】

2019-09-13

1969 【香水レビュー】

2019-09-13
新作「7753」:モナリザの微笑の香り?

※商品画像を公式よりお借りしました
本日、イベントで世界発のお披露目となったのがこちら、「7753」。
本国含む諸外国でも発売は1月以降になったそうで、日本のみ先行発売が実現したそうです。


「7753」は、ギスラン氏が「完璧な女性らしさ」を香りで表現してみたい、という思いつきで生まれたといいます。
自分の発想した通りに香りを組み上げていくのはとても難しいことですが、はじめてこの「7753」の試作を嗅いだ瞬間、思わず笑みが浮かんできたそう。
そのとき、「完璧な女性」像として名高いモナ・リザの微笑が脳裏に浮かび、彼女を香りのモチーフに選ぶことを決めたそうです。
「7753」とはモナ・リザの絵画の寸法。イストワールドゥパルファンの商品名にはモチーフとなった人物にゆかりのある4桁の数字が選ばれることが多いですが、絵画の縦幅と横幅からネーミングするなんてユニークでおもしろいですよね。

香りの構成は以下の通り。

 トップ:イタリアンベルガモット、
アイビー、 ベリー
ミドル:チュベローズ、
バーバリフィグ (サボテンの一種)、ヘリオトロープ
ベース:ベチバー、サンダルウッド、
オークモス


吹き付けた瞬間、フレッシュなベルガモットと共にひんやりと抑制の効いたベリーが涼やかに鮮やかに香ります。
アイビーの冷たくて肉厚なグリーンがみずみずしさを添えているのが印象的。葉の上ではじける水滴が目に浮かぶようです。

ベリーの洗練されたフルーティー香を引き連れたまま、柔らかいフローラルが花開くミドル。
クリーミーなチュベローズを程よいアクセントに、ふんわりと優しいヘリオトロープが可憐に香り立っていました。
ヘリオトロープというと、ひと昔前の化粧品を思い起こさせる、息が詰まるようなパウダリックな香りをイメージする方も多いかもしれませんが、「7753」のそれは加減が絶妙。ふっくらと柔らかいのに、不快な粉っぽさは一切感じられません。
香りを嗅いでいると、藤色の繊細なシルクが肌を滑っていくかのような心地よさを覚えます。
これまで愛用していたヘリオトロープの香水は、大好きな香りではあるものの今の時代普段使いするにはクラシカルすぎると感じていたところだったので、ミドルノートがふっくらと匂い立った瞬間「まさにこんな香りに出会いたかった!」という感動すら感じました。

手首に吹きかけてから6時間経過した今、ほんのりとミルキーなサンダルウッドが滲むように顔を出しつつあるものの、上記のミドルがまだ優しく肌の上で香っています。
ギスラン氏も、「主張しすぎない優しい香りが長く続きます」と仰っていました。

ふくよかに包み込むような甘さがありますがしつこくはないので、男性が纏っても素敵だろうなと思います。
実際、イベントにいらしていた男性が「新作は理想の女性像を表現した香りとのことですが、男性の自分が纏っても大丈夫?」と質問なさっていたとき、ギスラン氏は「もちろん!気にすることはない」と言いながらご自身の身体にも香りを吹きかけていらっしゃいました。

また、「香りは食事と同じようなものだ」というお話もしてくださり、それが心に残っています。
「男性は肉料理を好み、女性はサラダを好んで食べる」なんて言われるけれど、レストランでメニューを開いて「このメニューは男性向け、このメニューは女性向け」とわけてあることなどあり得ない。
香りも各人の自由で愉しむもの、誰がどんな香りをどのように纏ってもいいのだと伝えて下さいました。

日本ではまだまだ、香水を食事と同等に並べて語れるほど香り文化が根付いているとは言い難いですが、いつか各人が各人の好きな香りを自由に楽しむことのできる文化が花開けばいいなぁと切に願います。

イストワール・ドゥ・パルファンの香りのラインナップ


イベントでは、新作のみならず、既存の香りについての紹介もありました。
下記、印象に残った香りをいくつか記載します。

🔷1904
香調:フローラルパウダリー
<トップ> イタリアンマンダリン、ネロリ
<ミドル> アイリス、ヘリオトロープ
<ベース> シダー、サンダルウッド、ムスク
料理だけでなく音楽も大好きだというギスラン氏。
オペラ歌手であった母の影響が大きいのだといいます。
「1904」は、そんなオペラの演目として有名な「蝶々夫人」をモチーフに創られた香り。
舞台の上で歌う母から香るふんわりとしたお化粧の匂いをアイリスとヘリオトロープで表現したそうです。
アイリスのどっしりとした力強さと共存する繊細なフェミニティがとても新鮮でした。

🔷1828 Jules Verne
<トップ> グレープフルーツ、イタリアンシトラス、マンダリン、ユーカリ
<ミドル> ナツメグ、ブラックペッパー
<ベース> アトラススギ、パチョリ、シベリアパインコーン、ベチバー、インセンス
SF作家の父、ジュールス・バーン (日本ではジュール・ベルヌという読み方で親しまれる) がモチーフ。
イストワールドゥパルファンの中でも特に初期に生まれた香りだそうです。
冒険心を掻き立てる香りをイメージして創作したとのこと。
自身が愛用している香りについて調香師ご本人のお話が伺えるとは、なんとも贅沢な経験でした。

🔷This is not a blue bottle 1/.1
香調:パチョリオリエンタル
<トップ> アルデハイド、オレンジ
<ミドル> ハニー、ゼラニウム
<ベース> アンバー、パチョリ、ムスク
真っ青なブルーボトルに詰め込まれた、「これはブルーボトルではない」と名付けられた香り。
トップのアルデハイドC-12がとても鮮烈で、印象的でした。
自分の中で青のイメージではない香りをうまく組み合わせ、「逆説的」な香りを創作するというテーマが込められているそうです。

イストワールドゥパルファンの商品のラインナップは、日本での取り扱いがないものも含めると実に50種類以上。
幅広い香りを豊富に取り揃えており、選ぶのがとても楽しいメゾンです。
本記事ではすべてを紹介しきれませんが、気になった方はぜひお近くのNOSE SHOPまで足を運んでみてください。
ただし、上記の新作は現在銀座店のみの取り扱いのようなのでご注意を!

ジェラルド・ギスラン氏に寄せられた質問とその回答まとめ


トークセッションの後半、ギスラン氏に質問できる時間がありました。
寄せられた質問と、その回答を下記にまとめてみようと思います。

🔶どんなときに創作のインスピレーションが湧いてきますか?どんな風に香りを創作していますか?
→常に表現したいこと、香りにして伝えたいことで溢れています。
好きな食べ物や香りをリストにして、その中からピックアップしながら香りを組み立てていくようにしています。もちろんリストのすべては入り切りません。なかなかに難しい作業です。
ゲランやシャネルなど大手のブランドだと、どんな香りが売れるか市場調査をするところから香り創りが始まることがよくありますが、わたしのメゾンは小さいので、自身が表現したいこと、好きなことを重視しています。
作っている最中から「これは売れないだろう」とわかっているものもありますが、気にせず売ります!
実際、50種類近いコレクションの中でまったく売れていない香りもいくつかありますが、あまり気にしていません。

🔶一番のお気に入りはどの香りですか?また、どんな風に香りを纏っていますか?
→全部です!わたしには4人子供がいて、彼ら全員を同じように愛していますが、香りも同じです。
作品を自分の子供のように思っています。
今日の気分はコレ、というようなその日の気分はありますが、全部お気に入りです。
(自身の前方に香水をスプレーしながら2mほど走り抜けて) こうして走りながら香水を纏うこともあります (笑) 
ただし、この方法は健康じゃないとできませんけどね。

🔶クリスマスにピッタリの香りはありますか?
→「1926」でしょうか…。スパイシーだから。
クリスマスってスパイシーな香りのイメージがありますよね?
「1890」…これはスモーキーすぎてちょっとちがいますね。

「1926」は、プリンセス・トゥーランドットがモチーフのスパイシーフローラル調の香り。いくつか試香した中で特にいいなと思った香りでした。これからの季節映えそうです!

🔶オススメの重ね付け方法はありますか?
→重ね付け (コンバイン) は最近いろいろなところで流行っていますね。調香師本人としては、こだわり抜いて完成した料理をお客様にお出ししたら、その上にケチャップを掛けられてしまったような…。あぁ、そのままの味を楽しんでほしかったのに、と思ってしまうところは正直あります。けれど、香りの愉しみ方は自由ですから、ご自身で好きな組み合わせを見つけてみるのもいいかもしれません。

緻密に組み立てられた複雑な香りがイストワールドゥパルファンの香りの醍醐味だと思っているので、わたし個人としてはここはコンバイン向けのメゾンではないと考えていますし、調香師のギスラン氏も「基本的にはオススメしない」と明言されていました。
ですが、氏のおっしゃる通り香りの愉しみ方は自由ですし、お気に入りの組み合わせを探して見るのもまた一興なのかもしれませんね。わたしはそのあたり、考え方が古風なので、柔軟な楽しみ方も学んでいきたいところです。

🔶休日は何をして過ごしていますか?
→仕事です!というのも、香り創りはとても楽しくて趣味のような感覚なので、働いているという意識はないのです。
常に創りたい香りたちのインスピレーションで満たされています。
頭を空っぽにしたいときは、料理をします。料理の際は、具材を切って、炒めて…。
ただ「おいしく作る」ことだけに注力できるので、余計なことを考えずに済むのです。

まとめ


いかがだったでしょうか。
ジェラルド・ギスラン氏のお人柄や新作の香り、そしてブランドの魅力が少しでも伝われば幸いです。
今回、ブランドの担当者の方とたまたまご縁があった関係でこのような素敵なイベントにご招待いただき、とても貴重な時間を過ごすことができました。
ありがたいことに「This is not a blue bottle」シリーズのサンプルを頂きましたので、じっくり試香して後日レビューを掲載できたらと思います。
次回の記事でもお目にかかれますように!